INTERVIEW

タクシー乗務員:正社員

Takashi Hatsumi

2011年10月入社

21歳の時、あるきっかけにより乗車する立場から運転する側に。以降約30年間、昭和の終わりから現在にいたるまで、激動の日本を「タクシードライバー」の視点でつぶさに観察。今は、海外からのお客様への“責任”についても考え、やりがいを実感している。

タクシー業界の魅力を、
まだ世の中の人は知らない。

SCHEDULE

  • 8:00 出社。
    点呼・アルコールチェック、車の清掃などをして出庫。
  • 8:30 駅付け、流し営業。
  • 13:00頃 折を見て休憩。
    駅付け、流しのほか、無線・スマホでの呼び出しにも応じる。
    合間に都度休憩。
  • 20:00~ 会社帰りのお客様の送りなど。
  • 3:30 帰社。
    点呼・アルコールチェック、納金などを済ませて退社。
  • 4:00~ 明け番後、新しく建った商業施設やホテルなどを下見することも。
INTERVIEW

タクシー待ちの行列を見て、
ふとひらめいた。

昭和62年だったと思います。ハタチくらいだった私は当時アルバイトをしていたのですが、ある夜、JR蒲田駅の前で、長蛇の列を見たんです。何かと思ったらタクシーを待つ人たちでした。それで、咄嗟にひらめいたのが「タクシーが足りてない」ということ。「運転する側にまわったら、儲かる」と。あの時、利用者の一人としてただ待っているだけだったとしたら、今の自分はなかったですね。

実際にタクシードライバーになって、確かに、儲かりました。乗りたいお客様の数に対して、タクシーの台数が圧倒的に少なかった時代です。当時の収入は、同年代と比べて2~3倍あったでしょうか。なかなかの体験でした。

INTERVIEW

100万キロ越え、7万人のお客様。
これまでの“実績”が、自分を支えてくれる。

ただ、「タクシーバブル」も、そこまで長くは続かなかったんです。時代も大きく変わったし、タクシー台数を増やす方向で、行政からの是正も入って。収入が落ちたので、支出を抑える方向に切り替えました。その後も、やはり世の中の景気や経済政策がダイレクトに響くのが、この業界の特性かもしれません。

それでも、転職は考えませんでしたね。それまで頑張ってきた自分の実績と言うか、積み重ねがありましたから。たとえば、距離数でいうと、20年目位でもう100万キロを走っているわけです。お乗せしたお客様の人数は、約7万人。それだけの方たちを相手にしてきたんだな、と。そういう蓄積が、数字で見えたわけです。それで、気持ちは前を向きました。これからさらに、どこまでできるだろう、どれほど新たな方たちに会えるんだろう、と。

INTERVIEW

「国のイメージ」を背負っているのは、
実はタクシードライバーかもしれない。

昔は、タレントとか芸能人とか身近に接することができて役得だな、なんて思ってましたけど、最近は、海外のお客様が増えてきて、色々考えていることがあるんです。たとえば、空港に着いて、最初に乗るのがバスかタクシーですよね。それで、お客様と直接会話するチャンス、PRのチャンスがあるのは、圧倒的に私たちタクシーの方なんです。

そうすると、海外からのお客様が一番最初に話をする“現地人”が、タクシードライバーということも大いにある。意外と、責任重大だと思うんです。ここでもし万が一不愉快な思いをさせてしまったら、国ごとイメージダウンにつながってしまいます。

その責任をツライと感じるんじゃなくて、ここで少しでもイメージアップにつなげられたらと考えると、やりがいにもなりますよね。日本に来た方々が、楽しく過ごして、いい思い出を作ってくれたらいい。だから私もできるだけ、歴史を覚えて知識を増やしたいと思って勉強しています。観光ガイドもできる、タクシードライバー。今はこちらに力を入れ始めています。

INTERVIEW

誰もが知っている職業だけど、
面白さは、意外と知られていない。

電車やバス、飛行機なども、お客様をお乗せする仕事です。でも、直接お客様と会話ができる職業は、タクシードライバーだけですよね。もちろんいつもおしゃべりしてるわけではなく、お客様がお話しされたい時だけ、限られた機会ではありますが。ほぼ全産業、ありとあらゆる業種、老若男女、様々なお仕事のお客様とお話できるのは、この仕事ならではです。

働く環境や生活がまったく違った方たちと、情報交換できる。日本各地の出身の方だけでなく、海外から来ている方ともお話できる。普段は別の世界で生きているような方たちの、生の声が聞ける。それが私には嬉しいんです。様々なモノの見方、考え方に日々ふれることができる。そういうことは、なかなか体験できることじゃない。面白い仕事だと思います。

経済情勢や時代背景の影響を受けやすい業界だからこそ、その最前線で、色々なチャレンジができる。タクシードライバーは、今後も様々な可能性が広がる面白い職業だと思いますよ。

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